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第16話 桁違いの強者

مؤلف: 青砥尭杜
last update تاريخ النشر: 2025-02-07 19:34:30

「今のところ僕とシーマ卿だけが使えるってことになってる無属性魔法ってのは、他の属性と違って召喚魔法に特化してるんだよ」

 微笑を浮かべるエルヴァは、魔法について説明するというよりゲームの遊び方について教えるといった口調で、放出するオーラから新たに無属性魔法を行使する可能性を見出したカイトへのレクチャーを始めた。

「召喚、魔法……」

 ファンタジーを題材とするアニメやゲームで見た召喚魔法の派手な演出を思い浮かべたカイトは、オウム返しに単語だけをぽつりと漏らした自分に気付き、慌てて質問を口にした。

「その召喚魔法っていうのは、俺をこの世界に転移させた召喚術式とは別物なんですね?」

 カイトの質問に対し、エルヴァはコクッと軽くうなずいてみせた。

「召喚って同じ言葉を使ってるからややこしいけど、まったく別の系統だね。召喚術式は魔法ですらないし。で、その召喚魔法なんだけど、無属性以外の属性でも行使が出来る召喚魔法はある。ただ、火や土なんかの属性で召喚できる召喚獣ってそれぞれの属性でせいぜい十二、三種類ってとこ。僕たちが使う無属性は召喚魔法に特化してるだけあって、その種類は段違いに多い。天使シリーズが十五種、ギリシアシリーズが二十四種。合わせて三十九種が現時点で確認できてる」

 エルヴァが付け加えるように言った「現時点で確認」という部分にカイトは反応した。

「現時点で確認できているってことは、未確認のものが存在する可能性もあるってことですか?」

 カイトの問いに対して、及第点を与える教師のように「うん」とエルヴァが首肯する。

「その点では他の属性も同じなんだけど、魔法っていうのは言い換えれば「呼応する技術」でね。呼応の対象は四大元素だけじゃなくて神性も含んでる。神性を産み出す土壌となる世界は広い上に歴史も深い。探せば未知の召喚獣はいるだろうし、現に未知の召喚獣を求めて研究に没頭するってタイプの魔道士もいる。まあ、世の中が平和になれば魔道士は研究者にもなれるんだろうけど、今は忙しいから研究に時間を費やせる魔道士は少ないけどね」

 エルヴァがぼやかした背景に、カイトは敢えて言及してみることにした。

「戦争、ですか……?」

「いやな時代だよ、まったくね。「戦争が研究を後押しする側面もある」なんてほざく奴もいるけど、僕は嫌いだ」

「はい。俺も戦争を肯定的に捉える意見は嫌いです」

 目の前にいるエルヴァという世界最強の存在が好戦的な人物ではないと感じたカイトは、ひとまずの安堵を得たことで表情を緩めて肯定を口にした。

「だよね」

 エルヴァは軽い調子でお互いの認識を確認してから説明を続けた。

「で、その召喚魔法なんだけど、召喚した召喚獣が行使できる力に応じて召喚時と力の行使時に魔力を消費する。よーするに強い召喚獣なら魔力をがっつり持っていかれるし、弱い召喚獣なら大して魔力は使わないってこと」

 エルヴァの噛み砕いた説明に、カイトはうなずきを返しながら新たな疑問を持った。

「その魔力って、どれくらい持っているものなんでしょうか……やっぱり個人差は大きかったりするんですか?」

「ああ、そこらへんのことまだ聞いてなかった?」

 カイトが「はい」と素直にうなずくと、エルヴァはすんなり説明に移った。

「あるよ、個人差。ある程度の数値化もできちゃう。正確に魔力量を測れるのは聖皇だけだけど、僕もオーラがけっこう見えるから、ある程度は分かる。魔道士として認められる従五位の魔力総量は四十からってことになってるね。ちなみに僕は、四百以上」

 エルヴァがさらっと口にした数字の差に、カイトは驚くというより呆れてしまった。

「そんなに差があるんですか……」

「まあ、僕は最強だから。基準にはならないかな……魔錬士って称号がもらえる従三位で魔力量が百からって言われてるから、そこらへんの魔道士が基準にはなるかもね」

 最強を自認することに何の気負いも感じさせないエルヴァの様子に、カイトは驚きつつも従五位や従三位という律令制を勉強したときに出てきた単語について確認することにした。

「位階に合わせて称号が与えられるんですか?」

「うん。従三位から上だけね。僕が最高位階の正一位で、世界に一人だけの太聖。次が従一位で太魔範士、この位階も今はシーマ卿だけだね。その次が正二位で英魔範士、今は三人いる。って感じ。英魔範士の魔力は二百以上だから、いま挙げた連中なら僕と一応は勝負っぽい形にもなるんじゃない?」

 エルヴァは軽い調子のまま、世界で数人のみが名乗ることを許された称号を持つ強者たちへの見解を示した。

 目の前で力みのない微笑を浮かべるエルヴァが、とんでもない存在だということだけはカイトにも理解できた。

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